2014年に設立された日本のモバイルゲームデベロッパーであるトランスリミットは、これまでゲーム業界に大きな波を巻き起こしてきました。同社が注目されたのは、スマホゲーム「BrainWars」が世界中で人気となったためです。程なくしてこのパズル系バトルゲームは大ブレイク、特にアメリカとアジアで大ヒットとなり、リリースから8か月後には1,000万ダウンロードを達成しています。
この世界的成功にLINE社も注目し、2014年10月、同社初のゲーム投資ファンド「LINE GAME Global Gateway」は、初めて資金提供する企業としてトランスリミットを選出したのです。さらに、トランスリミットは再び世界を見据え、次のヒット作「Puzzrama」を展開しています。
グローバルなイノベーターであるトランスリミットが、アジア市場と欧米市場でどのようにユーザーを獲得し、収益化につなげたのか、地域ごとの戦略の違いについて、ユーザー獲得とマネタイズを担当している安中様にインタビューしました。
欧米とアジアのモバイルゲーム市場は大きな違いがあり、特にアメリカと日本の違いは顕著です。トランスリミットは両方の市場でも何度も成功を収めており、それぞれの市場に最適な独自のアプローチがあるとお聞きしています。アメリカ市場では、どのようにPuzzramaを宣伝し、ユーザー獲得につなげましたか?
カジュアルゲームにおいてもハイパーカジュアルゲームにおいても、主にパフォーマンスを重視して広告を活用しています。各入札で目標となるROAS(広告費用回収率)を設定し、この目標値でさらにコンバージョン率や収益が高まるかどうかを見ていきます。
ユーザー獲得の効率性をトラッキングし、これを向上していくには、ROASを基本にして広告を最適化することが一番です。また、リーチを拡大するため、SNSや広告ネットワークも活用しています。
アメリカでのユーザー獲得において、もっとも効果的だった方法は?
通常、私たちが行うユーザー獲得戦略には、3つの段階があります。
第1段階は初期テストです。アメリカで は、最初にCPI(インストールあたりの広告コスト)のテストを行います。例えば、Puzzramaは、Androidで0.3ドル以下のCPIを目標にソフトローンチしました。私たちはCPIが0.35ドル以下にならなければ、基本的には開発を継続しません。
CPIテストに合格すると、第2段階です。インストール初日に、ユーザー1人につき平均8回、広告が視聴されるようになるまで、ABテストを活用してアプリケーションを改善します。また、インストールしてから1日経過したときの継続率が30%を超えている必要もあります。この2つの段階を通過したアプリに磨きをかけて改良し、世界中でユーザーを獲得できるよう開発していくのです。
広告クリエイティブは、それぞれの市場に合わせて制作していますか?
テストの初期段階でゲームの可能性を確認している間に、約20種類のクリエイティブを作成してパフォーマンスを評価します。初期パフォーマンスが高く、ゲームが拡張することが決まったら、100から200個のクリエイティブをさらに作成します。クリエイティブを一通り使えば、どのクリエイティブが1番良いか分かります。そこで、3つか4つに数を絞り込みます。この最終版の広告をすべての広告チャネルに使用し、世界にも展開していきます 。
様々な国に展開していますが、クリエイティブはほとんど同じものを使用しています。もちろん、広告のメッセージは各言語にローカライズしなければなりません。また、クリエイティブにメッセージが入っていない場合、パフォーマンスが最大で20%下がることも分かっています。
動画広告のクリエイティブで成功するためのヒントを教えてください。
成功するクリエイティブには3つの特徴があります。
①数字の表記があること
②テキストが比較的短いこと
③ゲームルールの理解を助けるテキストが入っていること
ということです。
多くのクリエイティブは期待値よりパフォーマンスが低く、採用されないかもしれませんが、これはまったく普通のことですからがっかりせず、A/Bテストを繰り返すことです。
ユーザー獲得の視点から、日本とアメリカのモバイルゲームユーザーの違いを教えてください。
国が違えば、ユーザー獲得のローカリゼーションも変えていく必要があります。ローカリゼーションには時間と労力がかかりますが、ユーザー獲得戦略においてどの程度重要な市場であるかによって、それぞれの国にかける労力は異なります。ほとんどのクリエイティブがアメリカ市場に重点を置いて、最適化とローカリゼーションを行っています。例えば、アメリカ市場のユーザーの愛国心が強いと分かれば、アメリカの国旗を動画に登場させるなどの工夫をしています。
日本とアメリカでは、ユーザーの広告へのアプローチが異なります。モバイルゲームのデベロッパーとして、どのような違いに注目すべきでしょうか。
ユーザーの広告に対する感覚は、市場によってまったく違います。アメリカでは、ゲーム内広告にネガティブな反応をするユーザーは比較的少なく、たとえ30秒おきにゲーム内広告を流したとしても、継続率に大きな影響はありません。
一方、日本で同じように広告を流した場合、ネガティブな反応をするユーザーが出てしまうため、広告を流す間隔は長めに設定しています。
アプリ内広告(IAA)とアプリ内購入(IAP)では、どちらの収益が多いですか?市場による違いはありますか?
弊社の場合、4対1でアプリ内広告の収益が高くなっています。しかし、市場の違いはありますね。アメリカのユーザーは広告をたくさん流しても気にすることはありません。その反面、アプリ内購入はなかなか増えていきません。そのため、アメリカにおける収益化戦略は、アプリ内広告に重点を置く傾向にあります。
日本は、アメリカに比べて広告の量は半分です。しかし、日本のユーザーはアプリ内購入には積極的で、多くのユーザーが課金をしてくれます。そのため、日本でも利益を上げることができるのです。
例えば、Puzzramaでは「コンテスト」という機能があり、ユーザーが作成したオリジナルのモデルに投票を行い、優秀作品が毎日お披露目されていますが、日本のプレイヤーは特別な編集機能や作品に彩りを加えるオプションを購入しているため、ランキングのトップに入ることが多いと思います。海外プレイヤーはゲーム内のパズルを楽しんでおり、コンテストにはあまり参加していません。
Pangleの活用により、日本でのPuzzramaの収益は向上しましたか?
動画リワード広告の収益は14%増、インタースティシャル広告の収益は17%増となりました。Pangleは単価の高い広告が多くフィルされる特徴があり、日本でアプリ内広告を配信する際には必須のネットワークと考えています。
今後、モバイルパズルゲームの収益化はどうなると思いますか?
ハイブリッド式の収益化モデルで収益をアップするには、Puzzramaのようなパズルゲームは有力なジャンルの1つでしょう。なぜなら、アプリ内広告とアプリ内購入の両方から収益を見込めるからです。LTV(顧客生涯価値)も比較的容易に高めることができますし、世界でも人気の出るジャンルです。ハイブリッド式の収益化(アプリ内広告とアプリ内購入)は、今後一般的になっていくでしょうし、成長の余地はまだまだあります。
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